【哲学】自分を見つけるきっかけをくれる詩集、『夜空はいつでも最高密度の青色だ』を読んで思うこと。
こんにちは!
オオタユウスケ(@mellegarden)です!
今回は詩集『夜空はいつでも最高密度の青色だ』について書かせていただきました。
詩集を読んだのが初めてだったので、とても苦戦しました。
映画についての記事も別個に書いてますので、よろしければそちらも読んでいただけると嬉しいです。
【関連記事】【映画】わかりにくいし、ぶっきらぼうで優しくない、現代を生きるラブストーリー、映画『夜空はいつでも最高密度の青色だ』を観て思うこと。
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1つの現代ポエジーへの回答
詩集『夜空はいつでも最高密度の青色だ』読みました。
独特な世界観で表現されていて、それはそれは難しかったです。
心の葉脈が透けて見えるのは、 最果タヒの瞳から放射される 光線のせいだ。 ―― 松本隆(作詞家) オビコメントより 異例のひろがりで話題騒然となった『死んでしまう系のぼくらに』を超える、 待望の新詩集! - - - 都会を好きになった瞬間、自殺したようなものだよ。 塗った爪の色を、きみの体の内側に探したって見つかりやしない。 夜空はいつでも最高密度の青色だ。――「青色の詩」より抜粋 - - - 現代詩の枠を超えたムーブメントを巻き起こした詩集前作『死んでしまう系のぼくらに』。 他方では小説家としても活躍し、SNSでも詩を発表するなど フィールドを問わず快進撃を続ける詩人・最果タヒが満を持して放つ、 渾身の詩集最新作! 「ゆめかわいいは死後の色」「月面の詩」「花と高熱」 「美しいから好きだよ」「冷たい傾斜」「もうおしまい」 …ほか、書き下ろしを多数含む全43篇収録。 現代におけるポエジーとは? ひとつの答えがここに。 (Amazon 内容紹介より)
映画化された「夜空はいつでも最高密度の青色だ」という一節を含「青色の詩」など全43篇。
薄い本でしたが、それ以上の内容量があるような気がしました。
たぶん立ち止まって思考した時間が多かったせいでもあると思います。
作者は「いま最も新しい表現者」
この詩集を書いたのは詩人の最果タヒ。
1986年生まれ。06年現代詩手帖賞を受賞。07年詩集「グッドモーニング」(新潮社)で中原中也賞受賞。12年詩集「空が分裂する」(新潮社)、14年詩集「死んでしまう系のぼくらに」(リトルモア)刊行、後者で現代詩花椿賞受賞。小説家としても活躍、15年「かわいいだけじゃない私たちの、かわいいだけの平凡。」「星か獣になる季節」、16年「渦森今日子は宇宙に期待しない。」「少女ABCDEFGHIJKLMN」などがある。16年には初のエッセイ集「きみの言い訳は最高の芸術」を刊行。本作の原作となる第4詩集「夜空はいつでも最高密度の青色だ」は16年5月にリトルモアより刊行、重版を重ね詩集としては異例の27,000部を発売。また最新作、小説「十代に共感する奴はみんな嘘つき」(文藝春秋)が現在絶賛発売中。 (映画『夜空はいつでも最高密度の青色だ』公式サイト 原作者Profileより)
「いま最も新しい表現者」は詩人であり、小説家であり、多彩で、多才な表現を発表してきたみたいですね。
言葉に虜にさせられました。
愛おしい不器用さに溢れた、この映画が私の詩集をもとに作られたという、そのことが光栄でなりません。願わくは、多くの人に観てほしい。自分自身の「今」を不器用な手つきで抱きしめようとするすべての人に。 (映画『夜空はいつでも最高密度の青色だ』公式サイト 原作者Commentより)
「自分自身を不器用な手つきで抱きしめようとするすべての人に」というコメントからも僕は、この方が稀有な表現者であるということを感じてしまいました。
これからも多くの作品を残していくでしょうから楽しみです。
その前にすでに発表されている他の作品にも触れてみようと思っています。
ひとの感性は簡単に死んで、(中略)ただの死を迎える。
この詩集の中から気になってピックアップしたうちの1つがこれ。
きみの最低な部分を愛してくれる人がいるなら、 その人が、きみの飼い主になってくれるよ。 ひとの感性は簡単に死んで、簡単に誰かのペットになって、 愛という言葉を信じ、ただの死を迎える。 今日も、タクシーの車窓が、トランプみたいに街を切り取る。 故郷の夜景が一粒ずつ、ぼくの皮膚から抜けていく。 (首都高の詩より)
「最低な部分を愛してくれる人」は恋人とか家族ではなくて「飼い主」って表現を使うんですよね。
東京という場所は、よく感性を壊すなんて表現をされることもありますよね。
ただ、時間がむなしく経過していたり、自分を見失って、自分を認めてくれる人なら、愛してると言葉をくれる人なら、喜んで「ペット」になってしまうということを言いたいのかなと思いました。
感性を簡単に捨てないで。
死んだように生きないで。
そんなメッセージを勝手に感じ取りました。
終わるものでなければ、美しいわけがないんだ。
続いてはこちらの詩。個人的にすごく気に入りました。
愛は、ぼくには清潔すぎる。 流れていく雨が、河川を作るなら、 僕の嫌悪感はただしく、ぼくの歴史を作っていくだろう。 「青い春は透明な秋にならなくちゃ許せない。 それ以外の色はありえない。」 買ってしまったジュースが甘くても最後まで飲むような、 そんな大人になったならきっと絶望は手に入らない。 死んでしまうものでなければ、終わるものでなければ、 美しいわけがないんだ。 ぼくの愛したすべてのものはかならず、 ぼくを捨てるべきだった。 (ヘッドフォンの詩)
つまり、安定や現状に満足したらそれは美しくないってことです。
絶望こそが美しいものであり、終わるから美しい、と。
だから美しいもの、絶望的なものに自分がなるにはってことを最後の文で言ってるわけですよね。
美しいものになる努力を怠ってはいけませんよね。
小さい頃憧れた大人はそんな大人じゃなかったですし。
日々精進です!
100%誰かに理解してもらえるなら、そんな人間、この世界にいる意味がない。
詩集『夜空はいつでも最高密度の青色だ』について書かせてもらいました。
冒頭でも言いましたが、読むのにかなり苦労しました。
頭がぼーっとしている時に読んでもなかなか頭に入ってこなくて。
詩っていうのは作者の哲学の結集なわけで、そりゃあすぐに理解することなんて無理なわけです。
それを思えば、何度も何度も読んで、ピックアップしていないものも含めてこの詩集、すごく気に入りました。
最初はただ、映画をやってて池松壮亮だから見るか、くらいの軽い気持ちで入ってきたことをお詫びしたいくらいです。
ぜひ手に取ってみることをお勧めします。
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